じっくりと1週間ぐらいかけて、サソリの作品を作っていた。
ほぼ出来上がっていたのだが、
今朝見た時、最後にもうひと押し必要な気がした。
散々悩んだ末、さっき最後のひと押しを喰らわせてみた。
大抵最後のひと押しでうまくいく。
ところが、今回はサ〜ッと血の気が引いた。
詰めが過ぎたのか、甘かったのか、まだよくわからんが、おかしな事になった。
何とか立て直そうと修正を試みたが、
手を加えれば加えるほどおかしな事になっていき、
もうこれ以上は無理だと諦めた。
がっくりしながらタバコを吸っていると
溶き皿に残った絵の具が、僕をじーっと見つめているような気がしてきた。
絵の具の沈黙攻撃に耐えられなくなった僕は、
分かったからそんな顔してこっちを見るなと
そばにあった紙にさらっと描いてみた。というか盛ってみた。
すると、ほんの数分。ほんの数手で納得の作品が仕上がった。
しばらくポカ〜ンとしてしまった。
はぁ〜芸の道は果てしなく、長く短い。
なるべくブログは更新し続けようと思っているのだが、
例によって「PC立ち上げ面倒臭い病」を発症し、
億劫で億劫で1週間以上もサボってしまった。
このたわ言を楽しみにして頂いている皆さん、すいませんでした。
さてさて。
今日は仕事帰りに伊藤香奈さんの展覧会を見に
銀座のギャラリーゴトウへ行ってきた。
その会場へ向かう途中、
別のギャラリーの看板の抽象画に強く惹き付けられた。
看板にはギャラリーアート・ロベと書いてあった。
入ったことがないギャラリーで、ビルの4階。
一瞬躊躇したが、心の声が行けというので、それに従った。
入って正解だった。
僕が惹かれた作品はスペインの作家ヒネス・セラン-パガンさんのものだった。
軽過ぎず重過ぎず、静かに熱く問う感じ。と言えばいいのだろうか。
そして単純にカッコいいなと思えた。
作家さんはいなかったが、気さくなギャラリーのオーナーさんが
色々と彼について教えて下さった。
画家で詩人で社会人類学者であるヒネスさんの作品は、
インディアン問題をテーマにしているものが多いらしい。
ちょうど、ル・クルジオの「悪魔祓い」を読み終えたばかりの僕は
インディアンの話を聞いて、ますます作家さんに興味を抱いた。
次回来日した際には、連絡して下さるとのことで嬉しかった。
それと、ヒネスさんの言葉も良かったので、詩集を買いたいと言ったら、
この本は、若い人にはきっと勉強になるからと500円おまけしてくれた。
実年齢より若く見られる僕は、こういう時たまに得をする(笑)
帰る間際に「やり続ければ夢は叶うから、描き続けなさい。」と言われた。
無責任なそういう言葉、大好きだ。
強烈な、言葉の魔法。
自分より倍は生きてるであろう人に言われると、なんだか余計に納得してしまうのだ。
そしてご機嫌で、伊藤香奈さんの展覧会へお邪魔した。
伊藤さんとは昨年グループ展で知り合った。
ほわほわしているけど、とても芯が強い作家さんだ。
作品もそんな感じで、ほわほわ可愛いけど根がしっかりしていて素敵だ。
ガンガン作品も発表していて、すげぇなと思ってしまう。
http://www.gallery-goto.com/artists/ito_kana/
(福岡県の方お楽しみに!)
で、ご機嫌なままギャラリーを出て、
今度は、金子健太郎君が参加しているグループ展を見に
四谷にあるアートコンプレックスセンターに行った。
金子君とは10年ぐらい前に知り合った。
同い年で、お互いコツコツしぶとく発表し続けてる戦友だ。
タイミングがなかなか合わず、作品を見るのは久しぶりだった。
主にペン画をやってる作家だが、
最近は「からくり人形」にハマっているらしい。
からくり人形の作品は初めて見たのだが、
怖さ、気持ち悪さに加え、可愛さみたいのもグッと出てきた感じで、良かった。
金子ワールドが、より広がってるなと思った。
http://homepage3.nifty.com/urotanke/index.htm
アートコンプレックスセンターもご機嫌で出た僕は、
え〜い、今日は飲みに行ってしまえと思い、
最近行きつけの池袋の焼鳥屋へ、一人で入った。
安くて、美味くて、きれいな良いお店。
人生で2冊目のシェークスピア、「リア王」を読みながら砂肝をかじった。
なんだか今日はたくさん元気をもらった気がした。
・・・それにしても久々のブログで、
やたらと長い、偉そうな文章を書いてしまった。
いや〜、すいませんね(笑)
展覧会等が一段落したので、本屋に行った。
何か面白そうなのないかなと店内を物色していると、
「絶望名人カフカの人生論」という本が目に留まった。
僕は絶望なんてそう簡単に出来るものではない。
絶望し切った瞬間に人間は終わると考えている。
カフカは仕事をしながら、夜な夜な執筆活動。
暖房無しで寒さに耐えながら執筆活動。
結核になったあとも執筆活動。
していたらしい。
絶望しちゃったら、そんなこと出来やしないよ。
どんな時でも希望を見出そうとするから、精神が迸るのだ。
強い精神の持ち主だ。
憧れてしまう。
というわけで、その本は買わなかったのだが、
「変身」しか読んだ事なかったし、
カフカの本を買う事にした。
そして、岩波文庫のカフカ短編集を手に取ってみた。
その表紙にこんな文章が書いてあった。
実存主義、ユダヤ教、精神分析、ーーー。
カフカ(1883ー1924)は様々な視点から論じられてきた。
だが、意味を求めて解釈を急ぐ前に
作品そのものに目を戻してみよう。
難解とされるカフカの文学は何よりもまず、
たぐい稀な想像力が生んだ読んで楽しい「現代のお伽噺」なのだ。
語りの面白さを十二分にひきだした訳文でおくる短編集。
20篇を収録。
なんかグッときたので買う事にした。
あっ別に「絶望名人カフカの人生論」を否定しているわけではないので、
誤解なさらぬよう。
読んでないので、内容知らないから否定など出来ません。
ただ、僕にはタイトルは気になったけど、中身はさほど気にならなかっただけのことです。