この十数年、主に動物をモチーフに作品を制作しています。
でもなぜ動物を描き続けるのかを考えると自分でもよく分からなくなってしまいます。
一つ分かっていることは動物を描くことで画面に調子が生まれ、作品に引き込まれるということです。
それは道端でゴミを漁っているカラスと目が合い、一瞬「時」が止まったように感じたり、
自然の中で生きていることを再認識させられたりするときのような、
日常ともう一つ別の世界があることを感じる瞬間に似ていると思います。
そして「こちら」と「あちら」の「間」に私は興味があるのです。
「間」を生むには「こちら」と「あちら」の両方が必要となります。
日常と非日常、生と死、白と黒、絵具を盛るという技法により表れる線と面など、
相対するものをぶつけることで画面に様々な「間」を生み出せればと思います。
「両忘」とは善と悪、白か黒かなど全ての対立するもの、相対するものの概念を忘れ去った境地を表す禅語です。
どちらも忘れ去るには、どちらのことも知る必要があります。
両忘の境地は「間」そのものだと思い私が作品を通してやりたいことに近いと考え展覧会名にしてみました。
そして作品だけでなく会場自体にも「間」を産み出せたらと思い、
一階には単色の作品を地下展示室には多色の作品を展示しております。
それと地下展示室には初期の作品も数点展示してあります。
これは過去と現在をぶつけることにより「間」を生み出そうという試みです。
作品や会場から様々な「間」を感じ取って頂けたら嬉しく思います。
・・さて、長々と私の思いを書いてきましたが禅は不立文字と言いますし、結局のところ絵は絵です。
是非お気軽にお楽しみ下さい。
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