「誘惑する手」は失敗し、「耐える」が生れた。

じっくりと1週間ぐらいかけて、サソリの作品を作っていた。

 

ほぼ出来上がっていたのだが、

今朝見た時、最後にもうひと押し必要な気がした。

 

散々悩んだ末、さっき最後のひと押しを喰らわせてみた。

 

大抵最後のひと押しでうまくいく。

 

ところが、今回はサ〜ッと血の気が引いた。

 

詰めが過ぎたのか、甘かったのか、まだよくわからんが、おかしな事になった。

 

何とか立て直そうと修正を試みたが、

手を加えれば加えるほどおかしな事になっていき、

もうこれ以上は無理だと諦めた。

 

がっくりしながらタバコを吸っていると

溶き皿に残った絵の具が、僕をじーっと見つめているような気がしてきた。

 

絵の具の沈黙攻撃に耐えられなくなった僕は、

分かったからそんな顔してこっちを見るなと

そばにあった紙にさらっと描いてみた。というか盛ってみた。

 

 

すると、ほんの数分。ほんの数手で納得の作品が仕上がった。

 

しばらくポカ〜ンとしてしまった。

 

 

はぁ〜芸の道は果てしなく、長く短い。